◆記者解説 2四半期ぶりの背景に個人消費
4〜6月期の実質GDP(国内総生産)成長率が2四半期ぶりにプラスとなったのは、全体の約6割を占める個人消費が5四半期ぶりに回復したためだ。だが、賃金上昇につながる持続的な回復とは言い切れず、本格的な経済成長の実現が新首相にとって大きな課題となる。(高田みのり) 個人消費の回復は、今年1〜3月期でGDPを押し下げていた自動車の認証不正問題の影響が和らいだためで、前期からの反動が一因となっている。春闘などを経た実質雇用者報酬(4〜6月期)の伸び率は11四半期ぶりのプラスとなったが、今後も持続的に賃金が伸びるかどうかが日本経済にとっての鍵だ。GDPの実額は名目で600兆円を突破したが、物価の影響を除く実質では558兆円しかなく、物価上昇が要因の可能性が大きい。◆景気の先行きは?今後どうなる?
景気の先行きに不安材料は少なくない。円安局面で業績を好調に伸ばしてきた輸出企業にとって、超円安から一転して円高傾向に動く為替相場が懸念される。また、日銀の追加利上げが行われ、中小企業を中心に資金調達や設備投資に苦慮すれば、賃金上昇にはマイナスの影響を及ぼしかねない。 今秋に控えるアメリカ大統領選の行方も気になる点だ。「アメリカ・ファースト」を掲げ、関税引き上げなどを公約に掲げるトランプ氏が当選すれば、日本への影響は避けられない。経済政策でも、日本の新首相の手腕が問われることになる。 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。