6月に社長に就任した福本氏は「目覚ましい成長の途上でバトンを受け取り、身の引き締まる思いだ」と話した(2日、名古屋市)

関西電力傘下の中堅デベロッパーである関電不動産開発は2日、2036年3月期に税引き前利益を24年3月期比で2.5倍の約500億円とする目標を掲げた。6月に社長に就任した福本恵美氏が名古屋市で開いた記者会見で明らかにした。関西のみならず東京や名古屋、オーストラリアなど海外でも開発投資を増やす。

36年3月期の売上高は6割増の約1800億円を目指す。電力事業は市況に左右されるため不安定だが不動産事業は一定の収益を安定的に確保できることから、関電グループの中でも成長事業の一つに位置付けられている。

福本氏が社長に就任してからも開発投資を加速している。7月31日にはオーストラリアで物流施設2件を取得すると発表した。新規の開発投資を重ね、総資産は36年3月末に5割増の約1兆1000億円まで増やす。

福本社長は関電グループでITサービスを手掛けるオプテージの取締役だった(2日、名古屋市)

福本氏は社長就任後、報道陣の前に初めて登壇し「目覚ましい成長の途上でバトンを受け取り、身の引き締まる思いだ」と語った。前任社長で現・関電副社長の藤野研一氏は首都圏でのオフィスビルやマンションの開発を主導するなど、関電不動産開発を全国的なデベロッパーに成長させる礎を築いた。福本社長は「適地があれば開発を進める方針は継続する」と積極的な姿勢を崩さない構えだ。

福本社長の就任早々、日銀が政策金利を0.25%に引き上げたことで日本経済は「金利のある世界」に突入した。福本社長は「マンションの購入者にとっては金利上昇は気になると思う。影響はあるかもしれない」と指摘した。一方で「多くの方が活用している変動金利型の住宅ローンは金融機関が熾烈(しれつ)な競争の下で提供しているため、急に大きな影響が出ることはないのではないか」との見方を示した。

31日に名古屋市に開設する販売拠点には分譲マンションの模型も設置する(2日、名古屋市)

開発投資に充てる資金調達にも利上げの影響は避けられない。福本社長は「資金調達は難しくなっていくが、様々な調達方法があるため(金利の動向を)見極めながら対応する」と話した。

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