世帯年収が高い層でも節約志向がみられる

デロイトトーマツグループは30日、日本の消費者の価値観や購買行動に関する調査結果を発表した。この数年で変化した価値観として、約3割が「節約とぜいたくのメリハリをつけるようになった」「コストパフォーマンス(コスパ、費用対効果)を重視するようになった」をあげた。物価高により、購入商品の取捨選択がシビアになっているとみられる。

4月に20〜79歳の男女5000人を対象にインターネットを通じて調査した。

「節約志向が高まり、より低価格なものを購入するようになった」と回答したのは23.9%だった。世帯収入が低いほど回答割合が高くなる傾向に変化はないが、今回は1000万円以上の高所得層でもみられた。全体の節約志向が強まっていると分析した。

消費金額に関しては、食料品や日用品など主な消費財8項目の全てで「大幅に増えた」「増えた」と回答した割合が拡大した。「外食」は前年度比2.3ポイント増の15.1%、「旅行」は同2.1ポイント増の14.5%だった。特にシニア層は新型コロナウイルス禍を経て需要が回復している。

ただ、ほとんどの項目で2〜3割の人は消費金額が「減った」「大幅に減った」と回答。消費を控える傾向は依然として続いている。

消費金額が「増えた」「減った」層ともに、理由としては「物価高騰」が上位に入った。食料品などの生活必需品は値上げが相次ぎ、必要に迫られて消費金額が増加したと分析している。

「今後、消費額を増やしたいもの」については、42.6%が「増やしたいものはない」と回答した。上位は「国内旅行」(24.6%)の他に「貯蓄/投資」(23.9%)が入るなど、先行きが不透明な将来に対して備える姿勢がみられた。

調査を担当した三宅佐衣子執行役員は「消費にメリハリをつける傾向がみられ、世帯年収が高い層でも節約志向が強まっている。小売りやサービス業は購買行動の変化を考慮した上で、商品開発や品ぞろえを工夫する必要がある」と指摘した。

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