JR西が独自開発した新幹線500系は、航空機のような斬新な車体が多くのファンを魅了した

JR西日本は24日、山陽新幹線で運行する「500系」車両の営業運転を2027年をめどに終了すると発表した。1997年の運行開始から30年近くたち車体の老朽化が進んでいた。あわせてJR東海が開発した最新車両「N700S」の導入を進める。保守作業を円滑にし、部品を効率的に使うため、JR各社で車両の共通化を進める。

現在運行する6編成のうち、4編成は26年度末までの運行終了を発表済みで、残る2編成の引退時期が決まった。24日に記者会見したJR西の長谷川一明社長は、500系について「速度でギネス記録にもなり、多くの乗客に愛された名車だった」と評価しつつ、「東海道・山陽新幹線は一体で乗り入れしており、大量高速輸送を実現する上では共通性を重視したい」と廃止に至る判断を語った。

「ハローキティ新幹線」はピンクのカラーリングが話題になった

500系はJR西が初めて独自開発した新幹線車両だ。1997年に運行を始め、営業運転で当時世界最速タイの時速300キロメートルを実現した。東海道新幹線に乗り入れて「のぞみ」として東京―博多間を結んだ。10年にのぞみとしての運行を終了し「こだま」として新大阪―博多間を運行する。

濃紺を基調としたカラーに航空機のような斬新な外観から根強い人気を持つ。アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」や、サンリオのキャラクター「ハローキティ」をあしらったデザインでも話題を呼んだ。

エヴァンゲリオン新幹線ではエヴァ搭乗を模したゲームも実施した

一方で、現在運行されるN700Sなどとは車両の仕様や部品が異なり、共通の運用が難しかった。車両の独自開発には多額のコストがかかる上に、鉄道車両の製造現場では技術者の人手不足が深刻化しつつある。

JR西は24年以降、すでに8編成投入が決まっているN700Sを追加で10編成投入する。あわせて「レールスター」として営業運転する「700系」8編成も29年度までに引退する。

JR西は4月に改定した中期経営計画で「車両更新の早期化による安全性・快適性の向上」を掲げた。新型コロナウイルス過から業績が回復する中、23〜27年度の5年間で安全投資額を800億円積み増して、老朽化した車両の更新を前倒しする。自然災害での故障へ各社で対応する観点からも、JR西は車両共通化のメリットが高いとみている。

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