中国からの受注について日工会の稲葉会長は「当面は好調が続く可能性がある」と述べた(23日、東京都港区)

日本工作機械工業会(日工会)が23日発表した6月の工作機械受注総額(確報値)は、前年同月比10%増の1338億円だった。2カ月連続のプラスとなった。中国政府の補助金効果などで同国からの受注が7割増となり、全体を押し上げた。1〜6月では前年同期比でマイナスとなったが、足元では受注に復調の兆しがでている。

6月の中国向けは66%増の317億円と3カ月連続のプラスとなった。同国政府は4月、設備更新に関わる景気刺激策を公表した。23日に記者会見した日工会の稲葉善治会長(ファナック会長)は「月を追うごとに活況になっている。当面好調が続く可能性がある」とみる。中国の受注増でアジア向けは41%増の470億円だった。

北米向けは10%減の236億円だった。マイナスは2カ月ぶり。米大統領選挙による先行き不透明感や、電気自動車(EV)投資の見直しが影響したという。ただ5月などの受注額はプラスだったこともあり、稲葉会長は「北米の状況は悪くないと思う」と話した。

欧州向けは11%減の173億円と6カ月連続の減少だった。国内向けは横ばいだったが、5月までは21カ月連続のマイナスだった。日工会は国内の状況を「6月にまとまった受注はあったが、全体として力強さに欠けている」と評価する。

1〜6月の受注総額は前年同期比4%減の7400億円だった。中国の急速な回復でアジア向けが6%増だった一方、北米向けは6月の落ち込みで2%減となった。欧州向けは低調が続き13%減だった。

地域別の受注動向は単月ごとに回復がまだら模様だった。稲葉会長は「本格的な増加局面に向けて月を追うごとに地合いが整いつつある。ようやく動きだしてきたという感じだ」と総括した。7月中旬の会員向け聞き取り調査では足元の景況感に対する見解が分かれたものの、10〜12月には多くの会員が受注増加を予想しているという。

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