人工知能(AI)を活用した契約書審査を手掛けるリーガルオンテクノロジーズ(東京・渋谷)は15日、契約書の作成や審査、管理などの一連の過程を同一のプラットフォーム上で効率的に取り扱うサービス「リーガルオンクラウド」の提供を始める。国内大手の森・浜田松本法律事務所と業務提携してサービス内容の充実を図る。新たに英国に進出する方針も明らかにした。
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一般的に企業が取引先などと契約を交わす場合、①相手企業の情報や取引内容を把握する案件管理②契約書の作成③契約書の内容の審査④社内の稟議(りんぎ)⑤契約の締結⑥契約書の管理などの段階で業務が進む。これまでは各段階で別々のデジタルサービスを導入している企業が多く、業務段階ごとの情報連携や使い勝手に課題もあった。
リーガルオンは、一連の業務を全て同じサービス基盤で支援することで使いやすくし業務効率も高める。
15日からはまず、各案件ごとに関連するメールなどを集約して自動的に情報を整理する「ワークマネジメント」と、契約書のリスクチェックなどができる「レビュー」の2種類のサービスを提供する。ワークマネジメントではAIが重要な情報を抽出。レビューでもAIが契約書の内容に応じたリスクを洗い出すなどの機能を備える。
2024年夏には、契約の締結に至った経緯や取引段階で注意すべきリスクを管理できる「コントラクトマネジメント」のサービスも追加。年内に、電子契約サービスなども加える。
同社は現在、契約書AI審査サービスの「リーガルフォース」などを販売しているが、これらの既存サービスは当面継続する。将来的には、同じ機能を持つリーガルオンクラウドへの移行も視野に入れている。
さらにリーガルオンはこのたび、国内大手の森・浜田松本法律事務所と業務提携した。同事務所が監修する形でM&A(合併・買収)や国際取引に関連する契約書のひな型や、関連する解説記事などがリーガルオンクラウドのサービスに提供される。提供時期は24年夏を予定している。
24年度内に、新たに英国でサービスの提供を始めることも明らかにした。リーガルオンは23年から米国に進出しているが、新たに欧州にも事業展開し現地企業も含めた顧客の取り込みを狙う。
デジタルの力で法務を支援するリーガルテックは日本でも急速に普及が進んでいる。数年前までは、契約審査や電子契約、関連情報の収集など個別の業務ごとに専門のサービスを提供するリーガルテック企業が多かったが、最近は提供するサービスの幅を広げる動きが目立っている。
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