ガラス細工「ガラスのボイルほたるいか」(富山ガラス工房提供)

 富山湾の春の味覚、ホタルイカをかたどったガラス細工が人気を集めている。フリーのガラス作家勝木竜二さん(35)の手作りで、富山ガラス工房(富山市)が販売を始めると「かわいい」「おいしそう」と交流サイト(SNS)でたちまち話題に。数十個ずつ売り出すたび、30分ほどで完売した。現在は勝木さんのSNSで注文を受け付けており、漁期を過ぎても多くの人の目を楽しませている。(共同通信=吉永美咲)

 作品は「生」と「ボイル」の2種類で、ホタルイカのつややかな質感や色味を再現した。一人で制作する勝木さんは「注目してもらえるのは純粋にうれしい」とほほ笑む。

 滋賀県出身。ものづくりが元々好きで、幼い頃にテレビで見たガラス細工職人に憧れを持った。「硬いガラスが、熱を加えると自由自在に形を変えられる。面白いしすごいと思った」。家電の部品工場で働いていた29歳の時「自分の好きなことをやろう」と、この世界に飛び込んだ。

 石川県七尾市の能登島ガラス工房での住み込み修業を経て、2019年4月に富山ガラス工房のある富山に移り住んだ。ホタルイカを作り始めたのは2021年。「せっかくなら富山らしいものを」と思った。

 かわいらしく作るポイントは目の大きさだと勝木さんは語る。ほかにも左右の耳の大きさを均等にし、頭と胴体の比率など全体のバランスも見ながら成形していく。

 青白く光るホタルイカも試作したが、「思ったような色が出ず、材料の値段が高くたくさん作れない」ため、完成には至っていない。機会があれば、やり方を変え再挑戦したいという。

 今後はシロエビや雷鳥の制作にも興味を示す。「富山を離れるつもりはない。設備も作家のコミュニティーもそろっているから」。自分の工房を構える目標に向け、ガラス細工作りに日々向き合う。

 ホタルイカは1個2420円。勝木さんのX(旧ツイッター)やインスタグラム、メールに直接注文することで購入できる。7月中にはオンラインショップも開設予定で、販売予定はSNSで告知する。

ガラス細工「ガラスのほたるいか生」(富山ガラス工房提供)
「お刺身用パック」に入った、ホタルイカをかたどったガラス細工(富山ガラス工房提供)
富山ガラス工房で、ホタルイカをかたどったガラス細工を制作する勝木竜二さん=5月、富山市
富山ガラス工房で、ホタルイカをかたどったガラス細工を制作する勝木竜二さん=5月、富山市

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。