ヤッホーブルーイング(長野県軽井沢町)は16日、適正飲酒を促す目的であえて飲みづらくしたグラス「ゆっくりビアグラス」を開発したと発表した。中央部にくびれがある砂時計のような形状で、通常のグラスと比べて飲み終わるまでに約3倍の時間がかかる。限定10個を抽選販売するほか、自社の飲食店などで提供する。
東京ガラス工芸研究所(東京・大田)と半年かけて共同開発した。グラスには350ミリリットル缶1本分のビールがちょうど入る。中央部に内径約6ミリメートルのくびれをつくり、グラスを傾けると下部から上部にビールが少しずつ出てくる。モニター調査では16人中15人が「飲みづらい」と回答した。
抽選販売は公式通販サイトで実施する。価格は9800円で、応募期間は8月16日まで。店頭では東京都港区にある直営の「YONA YONA BEER WORKS 新虎通り店」で主力ビール「よなよなエール」をゆっくりビアグラスで飲める。1杯880円で提供期間は8月16日まで。ビアバー「麦酒大学」(東京・中野)でも7月28日〜8月3日の期間限定で提供する。
厚生労働省は2月、健康を維持するための適正な飲酒に関する初めての指針を公表した。ヤッホーが行った20〜60代の1099人を対象にした調査では、指針の認知度は21%止まりだった。一方で、普段からお酒を飲む層の35%が「飲酒量を減らしたい」と意識しており、適正飲酒のために「ゆっくり飲む」ことを心がけていることもわかったという。
ゆっくりビアグラスはガラス職人が手作業でつくっている。現在は20個ほどしか製造できていないという。今後はイベントを中心に提供し、反響が大きければ量産も検討する。ヤッホーの井手直行社長は「適正飲酒というとビールメーカーは『啓発にまい進します』などと重く捉えがち。ユーモアを踏まえながら、楽しさきっかけに適正飲酒を知ってもらいたい」と話した。
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