サイゼリヤが2月から発売した、具材たっぷりのスパゲティ

サイゼリヤが10日発表した2023年9月〜24年5月期の連結決算は純利益が前年同期の約2倍の51億円だった。国内で値上げをせず節約志向の消費者を取り込んだ。中国での出店増も寄与し、売上高は最高になった。同日、食事券など株主優待の廃止と増配を発表した。配当は24年8月期通期で25円(前期は18円)と従来計画から7円増やす。

株主優待の廃止について、同日記者会見した松谷秀治社長は「海外投資家などから優待券を利用する機会がないといった意見があり、公平にした。長期保有の株主を増やす狙いもある」と説明した。

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同社は保有株数に応じて店舗で使える食事券を付与している。100株以上500株未満の株主だと2000円の食事券などがもらえる。個人株主比率は23年8月末で64%にのぼり、優待人気も高い。株主優待に充てる引当金は5月末で約2億5000万円あった。今回、優待廃止と同時に表明した配当の引き上げ額はこれを上回る規模になる。

一方、取引終了後の優待廃止の発表を受け、私設取引システムでは同社の株価は夕方に一時10日の東証終値比10%安と急落した。

9〜5月期の売上高は24%増の1632億円と最高を更新した。営業利益は約3倍の100億円だった。アジア事業の営業利益が66%増の82億円に伸びた。

国内事業は13億円の営業黒字(前年同期は15億円の赤字)に転換した。具材を多めにした「きのことほうれん草のクリームスパゲッティ」など新メニューが好調だった。増収効果で原材料高などの影響を補った。

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