岐阜県飛驒市のスタートアップ、白銀技研が「空飛ぶクルマ」の開発を進めている。このほど福島県で第1号機のテスト飛行を成功させた。今後、市街地を除く屋外での飛行許可を国土交通省に申請するほか、2025年大阪・関西万博への出展も視野に商用化を目指す。
第1号機「Beedol(ビードル)」は1人乗りの電動垂直離着陸機(eVTOL)で、全幅約3.6メートル、全長約3.5メートルと、他社が開発中の空飛ぶクルマに比べて小型。前後2枚の翼を備え、水平飛行に移ると機体に付けた8つのプロペラが前進の動力だけに利用できるため、電力消費の効率を高められるという。
4分の1サイズの試験機で飛行テストなどを繰り返した後、6月中旬、福島ロボットテストフィールド(福島県南相馬市)で実物大の試作機の飛行テストを実施した。重さ70キロのダミー人形を乗せて通算4分15秒のフライトに成功。強風の影響で当初目標とした連続15分の飛行には届かなかったが、今後もテスト飛行を重ねて商用化に必要な型式認証の取得を目指す。
将来は通勤やレジャー用途などを見込む。水上で浮く設計にしていることから「水害救助などにも活用できるようにしたい」(西洋介社長)という。
39歳の西氏はソニーのグループ会社のエンジニアとして電気設計に携わり、Uターンで飛驒地域の工作機械メーカーに就職した。独立して23年5月に白銀技研を創業。独自デザインのパソコン用キーボードの製造販売を手掛けながら空飛ぶクルマの事業化を目指している。
山間地にある飛驒地域は人口減少も進む。西氏は「都市部に比べ飛行上の制約が少ない」と話し、過疎地発の新たなモビリティーの創出に意欲を見せる。
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