【ワシントン時事】世界銀行グループで民間の途上国投資への保証を手掛ける多国間投資保証機関(MIGA)の俣野弘長官は7日までに時事通信のインタビューに応じ、日本に対して二酸化炭素(CO2)排出削減など気候変動問題に関してアジアで指導力を発揮するよう促した。また、保証業務強化によるリスク低減を通じ、低所得国で「今こそ投資を促進し、(成長の)好循環に結び付けたい」と意気込みを見せた。
世銀は昨年、掲げる目標として、これまでの貧困撲滅に「住みやすい地球」を加え、気候変動問題への対応強化を目指している。俣野氏は世界の成長センターであるアジア地域では「排出削減余地が大きい」と分析。歴史的に同地域でリーダーシップを取る日本に期待感を示した。
世銀は1日から、MIGAの下でグループの各種保証事業を一括して扱う「ワンストップサービス」を始めた。審査業務の効率化を図り、使い勝手を良くすることで、政策変更や政府の契約不履行、戦争といった政治的リスクに対するMIGAの保証サービスを、低所得国を含めた途上国投資の呼び水にしたい考えだ。
俣野氏は「アフリカなどの低所得国では、公的支援がないと資金が流れない」と指摘。世銀が各国の社会インフラ整備を支援する一方、雇用の創出には「民間セクターの力が大きい」と述べ、投資の重要性を訴えた。
気候変動対策など成果が出るまでに時間を要する投資案件に対し、民間側は二の足を踏むことが多い。ただ、俣野氏は世銀グループが環境分野を含む社会的に意義の高い投資を「20~30年前から実践しており、難しさも経験している」と強調。投資を検討する日本企業に「ノウハウを喜んで提供したい」と語った。
インタビューに応じる多国間投資保証機関(MIGA)の俣野弘長官=2日、米ワシントン
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。