厚生労働省は8日、5月分の毎月勤労統計調査(速報)を発表した。物価の影響を考慮した働き手1人あたりの「実質賃金」は前年同月より1.4%減り、過去最長を更新する26カ月連続のマイナスとなった。賃金の上昇を上回る物価高が続いている。

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 労働者が実際に受け取った「名目賃金」にあたる現金給与総額は、1.9%増の29万7151円だった。一方、実質賃金の計算に使う5月の消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)が3.3%上がり、この物価上昇分を差し引いた実質賃金は1.4%のマイナスとなった。

 現金給与総額のうち、基本給などの所定内給与は2.5%増の26万3539円で、1993年1月以来、約31年ぶりの高い伸びだった。賞与を含む「特別に支払われた給与」は8.5%減の1万4171円だった。

名目賃金は29カ月連続プラス

 全体の調査は5人以上の事業所が対象で、30人以上の事業所でみると、所定内給与は3.6%増と物価の伸び率を上回った。

 現金給与総額を就業形態別にみると、フルタイムの一般労働者は2.1%増の37万8803円、パートタイム労働者は3.2%増の10万8511円だった。

 名目賃金は29カ月連続で前年を上回って過去最長を更新している上、今年の春闘の賃上げ率は連合集計で33年ぶりの高水準となった。厚労省の担当者は「賞与で大きな伸びが見られれば、6月分で実質賃金がプラスに転換してもおかしくない」と話す。

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