愛媛県今治市の縫製企業で働いていたミャンマー国籍の元技能実習生6人が、実習内容と違う仕事をさせられ、在留資格を無断で変えられたとして、支援する労働組合などが松山市で2日、記者会見を開いた。
中小製造業などの労組でつくる産業別組織JAMなどによると、元実習生は2022年9月に来日した20代の女性6人。実習内容は「子供服製造」だったが、実際は市の特産品で高品質で知られる「今治タオル」の製造に従事させられた。
23年11月、勤務先の監理団体や企業から「あと2年働くには手続きが必要」「このままだと辞めてもらうしかない」などと言われ、在留資格が「特定活動」に変更された。JAMによると、企業側は変更について説明したと主張しているが、資格の内容や理由について本人たちは理解が十分でなかったという。
その後、無断で変更されたとして6人は退職。最後の1カ月分の賃金や残業代が支払われていないことからJAMに相談し、今回の件が発覚した。
ミャンマーでは2021年2月に国軍のクーデターがあり、帰国に不安を抱えるミャンマー人のため、「特定活動」資格の在留が認められている。
JAMによると、技能実習で入国後、実習内容の実態に合わせるため特定活動に無断で変える例が昨年から全国で増えている。今年に入って10件ほどの相談があり、「懸念している」という。
JAMの安河内賢弘会長ら支援関係者は2日、今治市内の今治タオル工業組合を訪問。この企業は組合には入っていないが、今治タオル業界では外国人労働者に対する人権侵害が繰り返されてきたとして、「法令順守の対応がなされてきたのにもかかわらず今回の問題が起きたことは遺憾。産地全体で人権尊重の取り組みを徹底してほしい」などと求めた。
JAMによると、今治タオル工業組合は誠意をもって対応したいと答えたという。企業側からも、未払いの賃金を支払い、認識の違いがあれば是正したいとの連絡があったという。
この日の会見で、JAMの安河内会長は「再発防止策を含む改善の状況をみながら、労働当局に通告するかどうかなどを検討していく」と述べた。(神谷毅、戸田拓)
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