JR大阪駅北側の「うめきた2期(グラングリーン大阪)」では1部屋25億円のマンションも(23年9月)

不動産経済研究所(東京・新宿)は18日、2023年度に近畿2府4県で発売された新築マンションの価格を発表した。平均価格は前年度比5.5%増の4935万円と4年連続で上昇し、バブル期の1991年度(5464万円)に次ぐ高値となった。資材・人件費の上昇や低金利を背景に首都圏と同様、価格高騰が続いている。

1平方メートルあたりの平均単価は83万4000円と11年連続で上昇し、1973年の調査開始以来の最高値を3年連続で更新した。一方、発売戸数は8.5%減の1万5788戸となり、ピークだった96年度と比べると6割減となっている。

価格上昇をけん引したのは、JR大阪駅北側の大型再開発プロジェクト「うめきた2期(グラングリーン大阪)」の地上46階建ての高層マンション「グラングリーン大阪 ザノースレジデンス」だ。積水ハウスや三菱地所などが開発を手がけ、24年2月の1期146戸発売分は即日で完売し、平均倍率も17.3倍だった。最上階の1部屋の分譲価格は25億円、平均価格も約2億3200万円となる。

不動産経済研究所の笹原雪恵・大阪事務所長は「分譲価格25億円は関西では過去最高ながら、経営者などの需要が強かった」と語る。建設資材の高騰に加え、24年から建設業で時間外労働の上限規制適用も始まった。今後も分譲価格への転嫁は続きそうだ。

分譲価格が抑制された定期借地権付きの物件の引き合いも強い。関西電力傘下の関電不動産開発が開発したタワーマンション「シエリアタワー中之島」は、関電の所有地で開発し、分譲価格は最高で4億3999万円と定借では関西で最高という。

阪急阪神ホールディングス傘下の阪急阪神不動産は、地上39階建て総戸数712戸の「ジオタワー大阪十三」を24年1月から販売している。阪急電鉄の大阪梅田駅から2駅の十三駅近くで26年の竣工予定。定期借地権付きの物件で、最上階の角部屋は163平方メートルで3億円超の想定だ。

24年度についても「グラングリーンの2期販売も値段が上がる可能性がある」(笹原所長)とみる。3月に北大阪急行電鉄が延伸した箕面市では東京建物、住友商事、阪急阪神不動産が手がける31階建てマンション2棟の発売が11月に予定されており、引き続き高額物件の供給が見込まれている。

3月に発表された公示地価では、住宅地として大阪市城東区(6.4%)や東成区(5.5%)など、大阪都心部を外れた周縁部の上昇が目立った。不動産鑑定士の山内正己氏は「梅田など大阪市中心部のマンション価格が上がりすぎた。足元では中心部から周辺部にかけて同心円状に住宅需要が広がっている」と指摘する。

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