KADOKAWAは27日、サイバー攻撃の出版事業への影響を発表した。書籍の製造・物流システムの障害により、既刊本は出荷部数が平常時の3分の1程度にとどまっている。既刊本は書籍の総出荷額の約5割を占めている。

出版・IP(知的財産)創出事業は2024年3月期の売上高は1419億円で全体の半分以上を稼ぐ主力事業だ。書籍の総出荷額の残り半分を占める新刊の製造・物流は、主に社外で手掛けており、平常時と同等の出荷部数を維持している。電子書籍はシステム障害の発生直後に一部配信が遅れたが、現在制作への影響はないという。

経理機能については、人手による対応も含めて7月初旬に復旧するめどが立ったことを明らかにした。14日には決済システムが一時的に機能停止状態となっており、一部の取引先への支払いが遅れる可能性があると説明していた。

KADOKAWAは現在、外部専門家の支援を受けて情報漏洩の可能性を調査している。顧客のクレジットカード情報については社内でデータを保有していないため「KADOKAWAからの情報漏洩は起こらない仕組みになっている」とした。

一方で主力の動画共有サービス「ニコニコ動画」は8日のサイバー攻撃以降、サービスを利用できない状態が続いている。企業や個人などが専用で動画配信などができる「ニコニコチャンネルプラス」は28日に再開する。

KADOKAWAのシステム障害の影響が長引き、書店業界も対応に追われている。出版取次大手のトーハン(東京・新宿)はKADOKAWAの書籍の在庫を積み増している。通常KADOKAWAに発注する書店はトーハンへの注文で対応しているところもある。

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