調剤薬局最大手のアインホールディングス(HD、札幌市)は26日、「物言う株主」として知られる香港の投資ファンド「オアシス・マネジメント」からの株主提案に反対する意見を表明した。オアシスは、アインHDの取締役2人の解任などを株主提案で求めているが、アインHDは「2024年4月期決算で過去最高の実績となるなど当社取締役会は着実な実績を残している。当社取締役会がベストと考える役員陣で、引き続き経営に邁進(まいしん)させていただく」などとした。

 オアシスは提案書で、資本業務提携関係にあるセブン&アイHDの代表取締役である伊藤順郎氏ら2人の社外取締役の解任を求めている。昨年、病院の敷地内薬局整備をめぐる入札妨害事件で、子会社の社長らが逮捕、起訴されたことを問題視。「実質的な独立性を欠く者が社外取締役を務めてきた中で今般のような不祥事が起きた」として、2人の解任を提案。同時に、コーポレートガバナンス(企業統治)の抜本的改善のため、民間企業における監査役として長年の経験を持つ吉武一氏ら新たな取締役4人の選任を求めている。

 これに対し、アインHDは、伊藤氏ら2人の社外取締役と社内取締役1人の3人が任期満了のため退任し、新たに3人の社外取締役を選任する議案を7月30日開催の株主総会に出すことを決めた。

 オアシスをめぐっては、今年3月、アインHDの株式の9.60%を保有していることが明らかになった。その後、株式保有比率を14.89%に高めていた。これにより、オアシスの保有比率は大株主の大谷喜一社長やセブン&アイHDを上回り、オアシスが筆頭株主になったとみられる。

 オアシスは昨年6月にも、ドラッグストア大手のツルハHD(札幌市)にも社外取締役の一新を求める株主提案を行った。ツルハは反対を表明。その後、ツルハの筆頭株主であるイオンが、ツルハ株をオアシスから追加取得し、イオンの子会社でドラッグストア最大手のウエルシアHDと経営統合することで決着。ドラッグストア業界の再編につながった。(佐藤亜季)

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