パナソニックホールディングス(HD)は18日、京都大学iPS細胞研究所などと組み、iPS細胞を使った低価格ながん治療法を確立する取り組みを始めると発表した。がん細胞を攻撃するT細胞を、患者自身の細胞から大量につくる装置の開発を目指す。2025年4月までにT細胞を大量生産できる試作機を完成させたい考えだ。

がんの免疫細胞治療は体の様々な細胞に育つ能力があるiPS細胞を使い、T細胞をつくって患者に移植する。患者自身の細胞からT細胞をつくる「自家移植」と、他人の細胞からつくる「他家移植」があるが、自家移植のほうが免疫拒絶反応が起こりにくいとされる。ただ、自分の細胞からT細胞をつくる必要があるため、治療費が高額になりやすい課題があった。

今回の取り組みでは、京大iPS細胞研究所と、米カリフォルニア州と京都市に拠点を持つバイオ関連スタートアップのシノビ・セラピューティクスが免疫細胞治療の手法を確立し、パナソニックHDがT細胞の小型培養装置を開発する。小型の装置でT細胞を大量につくることができれば、患者が繰り返し免疫細胞治療を受けることも可能になるという。将来的には一般的な病院でも導入できるようにコストを削減したい考えだ。

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