使用済みのマヨネーズ容器㊧をあらかじめ洗浄のうえ、キャップなどを外してはさみで切断してもらう

キユーピーと味の素は20日、家庭から出るマヨネーズの使用済みプラスチック容器を回収して製品の容器として再生利用する「水平リサイクル」で連携すると発表した。国が目標を定めるなど社会の要請が強まるプラスチックの回収・再生の仕組みづくりに企業の枠を超えて取り組む。

イトーヨーカドー溝ノ口店(川崎市)に回収箱を置き、7月1日から2025年6月末までメーカーを問わずにポリエチレン製のマヨネーズ容器を回収する実験を進める。まず100キログラムの回収をめざす。

7月から回収箱を置いて100キログラムの回収を目指す(20日午後、東京都渋谷区)=写真は回収イメージ

消費者にはあらかじめ容器を洗浄してもらい、はさみで半分に切断したうえで投入するよう呼びかける。両社は容器メーカーなどと協力して粉砕して洗浄し、再生する。

キユーピーと味の素は国内マヨネーズ市場で計75%のシェアを持ち、年間3500トンの容器を使用している。従来は水平リサイクルが難しく、自治体ごとに可燃ゴミなどとして処理されてきた。マヨネーズ容器だけ分別するのが難しいうえ、容器に色や香りが移ってしまう場合があるためだ。

同日、東京都内で記者会見した味の素の小野郁・サステナビリティ推進部長は「プラスチックという大切な資源を流出させずに集め、再生する仕組みを社会実装したい」と話した。

再生されないプラスチックゴミは輸出されることも多かったが、中国などが廃プラスチックの輸入制限に踏み切った。廃棄物の移動を制限する「バーゼル条約」改正で汚れた廃プラ輸出に相手国の同意が必要となり輸出が難しくなった。

政府は「プラスチック資源循環戦略」で35年までに使用済みプラスチックを100%利活用する目標を掲げる。国内でのリサイクルモデルの確立が急務になっている。キユーピーは日清オイリオグループとドレッシングや食用油の使用済みボトルの回収実験を進めるなど、類似の試みが相次ぐ。

今回の取り組みは消費者にとって洗浄と容器の切断といった手間がかかるだけに、協力の機運をいかに高めてコストを抑えた回収・再生システムを確立できるかが焦点となる。

(大林広樹)

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