内閣府は、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」をもとに、正社員の去年の賃金の動向を性別や年代別に分析しました。
それによりますと、時間外や休日手当を除く「所定内給与」は
▼大卒の男性では、前の年からの伸び率が
▽20代前半がプラス3.1%、▽20代後半がプラス3.4%だったのに対し
▽30代後半が0%
▽40代が1%台
▽50代前半はマイナスでした。
また
▼大卒の女性でも
▽20代前半がプラス2.1%
▽20代後半がプラス1.9%だった一方
▽30代後半がプラス0.3%
▽40代はマイナスでした。
人材獲得競争の激しい若い世代で高い水準となった一方で、中堅やベテラン層では伸びが小さくなるなど、世代によって差が生じる結果となりました。
一方、人手不足が進み、シニア世代の処遇を改善する動きも出る中で
▽男性の60代前半はプラス6.8%
▽女性の60代前半はプラス11.2%となりました。
専門家「節約する傾向が強まりやすい」
三井住友信託銀行調査部の大和香織チーフエコノミストは、世代間で賃上げに差が生じた理由について「人手不足で企業が若年層を獲得するために優先して処遇を上げてきた。一方で定年延長で高齢層を雇う原資を確保するため、相対的に賃金の高い中高年層の賃金が抑えられたことが背景にある」と話しています。
そのうえで、こうした状況が経済に及ぼす影響について「物価高で年齢にかかわらず消費マインドが悪化しているが、中高年層は可処分所得が伸びづらい一方で、教育費など出さなければならない支出が多くの割合を占めるので、それ以外のところで節約する傾向が強まりやすい」と話しています。
一方で、女性の40代などで賃金の伸びがマイナスとなったことについて「これまで育児などで退職してきた比較的、賃金の低い人たちも企業が継続して雇用するようになり、働く人の数の増え方に比べて総額の伸びが小さかったという面もある。ただ、女性の生涯所得で見た場合、継続雇用はプラス面もあり、マイナスとなったことが一概に問題とは言えない可能性がある」と話しています。
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