千葉県の中学校の修学旅行バスを一度に4台案内した(奈良市の奈良交通本社)

奈良交通は、複数の観光バスを1人のガイドが同時に遠隔案内できるシステムを導入した。まず20台のバスに通信機器やカメラを搭載し、修学旅行向けにサービスを始めた。バスガイドの人手不足に対応しながら、多様なサービスを提供することで乗客の満足度を上げる。

これまでの1台に1人が乗車するスタイルではなく、奈良市の本社ビル内に設けた専用ブースでガイドが複数のバス車内を映したモニターを見ながら案内する。乗客は車内2カ所のカメラとマイクを通じて会話や質問もできる。複数のバスで同時に動画コンテンツを見たり、学習やゲームをしたりすることもできる。

乗客は車内のモニターやマイクを通じてガイドとの会話や質問ができる(奈良交通提供)

直接のふれあいや車外での安全確保も引き続き重視し、1台に1人「交流ナビゲーター」が同乗する仕組みも導入した。修学旅行生と年齢が近い大学生らが、立ち寄り先での誘導や点呼などの業務を担当する。現在約50人が登録している。

奈良交通のバスガイドは1980年代には正社員だけで約220人いたが、現在は17人まで減っている。観光事業部の大谷和也部長は「バス同士でコミュニケーションが高まるアイデアや案内の工夫を通じ、乗客ニーズの変化や多様化に対応したい。将来はインバウンド(訪日外国人)向けツアーへの拡大なども検討したい」と話す。

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