曙ブレーキ工業は再生計画期間を終える

自動車部品大手の曙ブレーキ工業は14日、2024年6月30日までに一括返済が必要な約490億円の負債に対し、28日までに完済すると発表した。私的整理の一種である事業再生ADR(裁判以外の紛争解決)で進めていた再建計画期間を28日付で終える。

ドイツ銀行からシンジケートローン(協調融資)として320億円を調達し、自己資金170億円と合わせて、既存の借入金を返済する。23年4〜6月期から事業継続リスクのある企業として投資家に注意を促す「継続企業の前提(ゴーイングコンサーン)に関する注記」の記載も解消する。

曙ブレーキは北米事業の失敗で業績が大幅に悪化。当時、一部の地方銀行が借入金の返済を強く迫り、19年1月に事業再生ADRを利用した再建を目指すと発表した。同年9月に再建計画が銀行団に承認され、銀行団は借入金の半分に相当する債権放棄に応じた。

国内では工場を縮小し、フランスで工場や開発拠点を閉めた。独ボッシュから買収した米国2工場の閉鎖などにも踏み切り、固定費の削減を進めてきた。最終損益は19年3月期に182億円の赤字だったが、24年3月期には34億円の黒字に転換した。自己資本比率は2%弱(19年3月末時点)から約35%(24年3月末時点)まで高まり、資金繰りも改善した。

固定費のさらなる削減に向け25年12月までに米国ケンタッキー州の工場を閉鎖し、米国での生産拠点は1カ所にする。14日に開いた記者会見で、宮地康弘社長は「米国再編は(再生期間終了後の)最優先課題で、収益体質をさらに改善させる」と話した。今後の投資方針については「高性能ブレーキなどの好採算事業を中心に投資を強化する」とした。

  • 【関連記事】曙ブレーキ、米国工場を閉鎖 資金繰り悪化で25年12月に

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。