エスビー食品は山梨県で「沢わさび」の試験栽培を始めた

エスビー食品は、山梨県内で約50年間放置されていた沢を整備してワサビの試験栽培を始めた。農家の高齢化などに伴い国内のワサビ生産量が減少傾向にあるなか、伝統的な栽培技術の維持を目指す。

山梨県道志村の「養老の森」周辺にある約55平方メートルの沢を整備した。かつては豊富な湧き水を利用した良質な「沢わさび」が栽培されていたが、約50年前に栽培が途絶えたという。

2024年1月からエスビー食品の従業員が枯れ葉を除去したり、隣接する川から取水したりして、4月に沢わさびの苗を定植した。約1年半後の収穫を見込む。

約50年の間に積もった枯れ葉などを除去したり、隣接する川から取水したりして沢を整備した

エスビー食品は道志村に隣接する山梨県忍野村に試験農場を持ち、温室を中心としたワサビの栽培研究に取り組んでいる。道志村では自然環境下での試験栽培となるため、2拠点を活用したワサビの総合研究につなげる。

国内のワサビ生産量は減少傾向にあり、2022年の生産量は1635トンと前年比13%、10年前から4割近く減っている。背景には自然災害の影響や、高齢化による担い手の減少がある。

ワサビは、和食人気を受けて海外でも需要が伸びている。加工品は海外産が使われることも多く、国産ワサビの生産基盤の維持強化が課題となっている。

エスビー食品は、古くから日本に自生してきたワサビの築田・栽培管理技術を継承するためにも、栽培の知見を持つ人材育成や生産現場の課題解決に向けた体制強化を目指すとしている。

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