米調査会社が公表しているスタートアップ企業が育ちやすい都市の世界ランキングで東京が10位に浮上した。前年の15位から大幅に順位を上げた。日本の都市が上位10位以内に入るのは9位となった2021年以来3年ぶり。東証グロース市場において、初値時価総額が200億円以上の中大型の新規株式公開(IPO)が増えるなど、スタートアップのエグジット(投資回収)市場が底堅いことが評価された。

米調査会社のスタートアップ・ゲノムが10日、2024年の「グローバル・スタートアップ・エコシステム・リポート」を発表した。世界の主要都市の起業環境について、成功しているスタートアップの数や資金調達など5項目を採点して総合順位を算出した。同ランキングは世界のベンチャーキャピタル(VC)や大企業がどの地域のスタートアップに投資するかを考える材料となっている。

24年は1位のシリコンバレーを筆頭に上位10位のうち、米国の都市が4つを占めた。アジアでは7位のシンガポール、8位の北京、9位のソウルに続いて、東京が10位にランクインした。5項目のうち、重みづけが大きい「パフォーマンス」「マーケットリーチ」の2指標が改善したことが順位を押し上げた。

全体の30%を占める「パフォーマンス」で10点満点中8点と前回調査(4点)の2倍になった。上場スタートアップのIPOなどエグジット時の評価額や5000万ドル以上のエグジット数の増加が寄与した。全体の20%を占め、5000万ドルおよび10億ドル以上のエグジット数の対GDP(国内総生産)比・対人口比などで構成する「マーケットリーチ」は9点と前年の1点から大幅に改善した。

もっともアジアの中では、東京の順位は人口やGDP規模が小さいシンガポールやソウルに見劣りする。調査に協力したデロイトトーマツベンチャーサポートの斎藤祐馬社長は「シンガポールは優良なスタートアップを国が選抜し、政府や大企業が優先的に仕事を発注して育てる仕組みがある。日本もこうした仕組みを整え、成長力を押し上げる必要がある」と話す。

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