大成建設は7日、約292億円を投じて平和不動産の株式を取得し、同社の筆頭株主になると発表した。資産運用会社のシンプレクス・アセット・マネジメントと三菱地所から株式を買い取る。大成建設の議決権所有割合は20.12%となり、持ち分法適用関連会社とする。大成建設・平和不動産・三菱地所で資本業務提携を結び、共同で大規模再開発に取り組む。
大成建設はこれまで平和不動産の株式を1.49%保有していた。約274億円を投じてシンプレクスが保有する16.3%を、約18億円で三菱地所から1.09%をそれぞれ取得する。
平和不動産の株価は7日の終値が3770円だった。大成建設の取得価額は単純計算で1株が約4700円と高い水準だ。同社は「平和不動産の本源的価値を基礎に提携効果を考慮した結果、経済的に合理的と判断した」と説明する。
大成建設は成長戦略の1つとしてM&A(合併・買収)を掲げる。23年11月には首都圏を中心に設計・施工を手掛ける佐藤秀(東京・新宿)を買収。同年12月には中堅ゼネコンのピーエス三菱を連結子会社化した。
27年3月期までの中期経営計画ではM&A戦略を具体化。同業のゼネコンと人材を抱える専門工事会社、海外企業の3つに加え、不動産会社などを注力分野として掲げる。建設・不動産の上流となる街づくりの企画段階から事業を手掛け、付加価値を高めるのが狙いだ。
平和不動産は7日、最大90億4800万円を投じ、発行済み株式総数(自己株式を除く)の6.67%にあたる240万株を上限に自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)で買い付けると発表した。三菱地所が売却に応じる方針で、取引が成立すれば三菱地所の出資比率は現在の12%弱から5%まで下がる。
平和不動産は1947年に証券取引所の不動産管理会社として設立した経緯があり、現在も東京証券取引所や大阪取引所にオーナーとして不動産を貸している。近年は東京・兜町や札幌で再開発に取り組むなど、事業領域を拡大していた。
2011年に三菱地所と資本・業務提携を結び、同社からの出資を受け入れた。21年に平和不動産が中心となって開業した高層ビル「KABUTO ONE」では三菱地所子会社の三菱地所設計が設計を担当している。
平和不動産の歴代トップは東京証券取引所を傘下に持つ日本取引所グループ(JPX)関係者が務めている。近年は最大の顧客である東証との関係を巡り海外の投資会社から株主提案を受けたほか、シンプレクスが事実上の筆頭株主となっており、動向が注目を集めていた。
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