16日の米ニューヨーク外国為替市場で円安が進み、一時、1ドル=154円70銭台まで下落し、約34年ぶりの円安ドル高水準を更新した。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の発言が、利下げに消極的だと受け止められた。今年に入り10円を超える円安が進んでおり、政府と日本銀行による為替介入への警戒感が高まっている。

 米東部時間16日午後2時(日本時間17日午前3時)時点では、前日の同時刻より60銭円安ドル高の1ドル=154円70~80銭で取引された。

 パウエル議長はこれまで、インフレ率がFRBの目標に近づいていると「自信が深まる」まで利下げは始めないと説明していた。16日の討論会では、最近の経済指標は「自信を得るのに予想以上に時間がかかりそうだと示唆している」と指摘。インフレが収まるまで「必要な限り今の抑制的な(金利)水準を維持することが可能だ」と述べた。

 予想を上回る小売り売上高など、インフレにつながる底堅い経済指標の発表が相次ぐ中でのパウエル議長の発言で、利下げ期待が一段と後退。高金利の長期化が見込まれるドルを買い、円を売る動きが広がった。

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