静岡県庁を訪れたJR東海の丹羽俊介社長㊨と出迎えた鈴木康友知事(5日、静岡市)

静岡県の鈴木康友知事が5日、JR東海の丹羽俊介社長と知事就任後初めて面会した。リニア中央新幹線の静岡工区を巡り意見を交わしたほか、鈴木知事が前向きな意向を示す東海道新幹線の静岡空港新駅構想も話題に上った。鈴木知事は面会後「経済的な議論もしたい」と語り、丹羽社長は「対話は必要だ」とした。

午後4時過ぎに丹羽社長が静岡県庁を訪れた。冒頭、丹羽社長が「鈴木新知事のもとで、静岡県と当社の関係をさらに深めていきたい」と語りかけた。鈴木知事は水資源や環境保全との両立を目指す方向性は堅持するとしつつ、「率直な意見交換がしたい」と応じた。面会は冒頭以外非公開で、約30分に及んだ。

5日午後4時過ぎ、JR東海の丹羽社長が静岡県庁を訪れ鈴木知事との面会に臨んだ

面会後、両氏が報道陣の取材に応えた。丹羽社長はこれまでJR東海が否定的だった空港新駅について、依然課題はあるとしつつ「静岡県の考えを受け止めて対話する必要はある」とした。岐阜県内で起きた地下水位の低下を巡っては静岡と状況が異なるとしつつ、不安解消のために流域自治体への説明の場を設けたいとした。

JR東海の丹羽社長との面会後、報道陣の取材に応える鈴木知事(5日、静岡県庁)

鈴木知事は環境や水資源とは別に、東海道新幹線の県内停車増など経済的議論も進めたいとした。空港新駅についてメドや費用負担については未定として「コミュニケーションをとっていく」と述べるにとどめた。

県とJR東海とのリニアを巡るトップ会談は今回で4回目。JR東海の金子慎会長は社長時代に川勝平太前知事と2回会談している。川勝氏は環境や水資源への影響から着工を認めず、会談も平行線で終わった。23年4月には就任挨拶をかねて丹羽社長が面会した。

鈴木氏は5月の静岡県知事選で諸課題の解決を前提にしつつ、リニア推進を掲げ初当選した。今月4日にはリニア工事への国の積極的な関与を求めて斉藤鉄夫国土交通相を訪れた。7日はリニア沿線自治体などで組織する建設促進期成同盟会に出席を予定するなど、就任早々リニア関連の予定が続く。

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