来年春に卒業する大学生や大学院生を対象にした企業の採用面接は、政府が要請したルールでは、1日から開始となっています。

一方で人材サービスなどを手がける「マイナビ」が大学生と大学院生を対象に行った調査で、3605人から得た回答を分析したところ、ことし4月末の時点の内々定率は、前の年の同じ時期より12.3ポイント多い64.3%に上りました。

人材不足を背景に、政府のルールよりも採用活動を前倒しして行う企業が増えていることが背景にあるとみられています。

また3社以上の企業から内々定を得たとする学生の割合は32.3%と、前の年の同じ時期より9.6ポイント増えました。

一方、内々定を得ている学生に就職活動を終了するタイミングについてたずねたところ、去年と同様6月末と答えた学生の割合が最も多く、43.8%に上りました。

調査を行った会社では、こうした傾向から学生たちがより志望度の高い企業からの内々定を求めるなどして、例年と同じ時期まで、就職活動を活発に行うとみています。

マイナビキャリアリサーチラボの井出翔子さんは「前年に目標の数だけ新卒を採用できなかったり、転職市場の活性化で退職者が出たりしたことに伴う人材不足が、企業の採用活動の早期化につながっている」と指摘しています。

そのうえで「採用活動の早期化によって、学生自身のキャリア観や専門性が十分に高まらないまま選考が進み、入社が決まると、企業と学生の間のミスマッチにつながりかねないという懸念もある。学生には自分のキャリアの土台を十分に考えたうえで、ファーストキャリアを選択してもらいたい」と話していました。

SNS上の不確かな情報に注意

1日から、来年春に卒業する大学生などを対象にした企業の採用面接が本格化するなか、SNS上では就活生の不安をあおるような不確かな情報も見られます。

専門家は「偏った情報もあるのでSNSの情報だけに頼るのは危険も伴う」と指摘しています。

このうち動画共有アプリ「TikTok」では就活の面接に関して「この言葉を使うと一瞬で落とされる」などと、学生の不安をあおるような不確かな動画が投稿され、90万回以上、再生されているものもあります。

ほかにも
▽「面接官が好きなガクチカ=学生時代に力を入れたことはコレ」
▽「面接を通過できる逆質問の一覧」などと紹介している動画もありますが、専門家はそれぞれの会社や職種、一人ひとりの学生によって状況は異なり、すべてに共通するような回答は無いとしています。

マイナビの高橋誠人編集長は「就職活動に必勝法は無く、これを言ったら通るとか落ちるというのは極端で偏りがある。情報が氾濫している今の時代、SNSの情報だけで自分の行動を決めてしまうのは危険も伴う。安易に“正解”を求めずに、その情報が正しいかどうかを自分で考えてほしい」と話しています。

そのうえで、SNSの情報だけに頼らず
▽企業の説明会やウェブサイトなどで公式情報を確認すること
▽迷ったときは大学のキャリアセンターなどに相談することが大切だとしています。

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