漫画「セクシー田中さん」(著者・芦原妃名子、小学館)

日本テレビ放送網は31日、2023年10〜12月に放送したドラマ「セクシー田中さん」の原作者が死去した問題を受けた社内調査の結果を公表した。脚本を巡って制作者側と原作者側との意思疎通がうまくいかず、認識の食い違いが生じて、信頼関係が失われていったことを明らかにした。初回放送まで6カ月程度という制作期間は短かった可能性があると指摘した。

同日、外部弁護士などを加えた社内特別調査チームがまとめた調査報告書の説明会を開いた。「セクシー田中さん」は小学館の雑誌で連載中だった漫画で、日テレ系でドラマ化された。原作者の芦原妃名子さんが脚本や登場人物の設定などに対する違和感をブログに投稿し、ネット上での誹謗(ひぼう)中傷を含めて様々な声が上がる中で、24年1月に死亡しているのが見つかった。

説明会の冒頭、石沢顕社長は芦原さんに哀悼の意を表し、「事態を重く受け、客観的な視点で経緯や問題点の検証を行った」と説明した。「すべての人がドラマ制作により安心して取り組めるよう責任を持っていく」と述べた。

調査は2月下旬から5月末にかけて日テレの関係者や脚本家、小学館の関係者、社外の有識者など合計39人に聞き取りと書面回答でまとめた。芦原さんが亡くなった原因の究明ではなく、制作過程での問題点の洗い出し、今後の対応への提言などを目的に実施された。

今後に向けた提言として、原作者との認識の齟齬(そご)をなくすために制作担当者が直接面談を要請したり、無理のない制作期間とするために放送開始の1年半前、遅くても1年前には企画決定するよう努めたりすることを挙げた。プロデューサーの業務量や人数についての見直しなども求めた。

調査チームの責任者を務める日テレの山田克也取締役執行役員は「提言について、社内に周知徹底していきたい」と述べた。

【関連記事】

  • ・「セクシー田中さん」波紋 余裕ない現場、契約の課題も
  • ・「セクシー田中さん」問題、漫画ビジネスの転機に

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。