旗艦店をリニューアルし、チェキなどのカメラを手に取って体験できるようにした(30日、ロンドン)

【ロンドン=為広剛】富士フイルムは30日、英国ロンドンにある同社の写真関連の旗艦店を刷新した。若者を中心に人気が高まっているインスタントカメラ「チェキ」で自撮りができるブースを新たに設けた。撮影体験ができる機会を増やし、新たなファンを取り込む。

ロンドン中心部の観光地、コベント・ガーデンにあるカメラ製品や写真などイメージング事業の旗艦店「ハウスオブフォトグラフィー」を30日にリニューアルオープンした。

店舗入り口付近に自撮りができるブースを設けた。「プリクラ」などプリントシール機ほどの広さで、壁や天井が鏡で囲われており角度によって様々な写真が撮影できる。撮影した写真は店舗内の掲示板に飾るか、1枚1ポンド(約200円)から持ち帰ることもできる。

店舗奥には同社のミラーレスカメラやレンズを体験できるコーナーを設置した。壁にかけられた100インチの大型ディスプレーにカメラの画面を映しながら、店員から使い方などの説明を受けられる。地下1階はプロ向けの「GFXシリーズ」の専用コーナーとし、撮影スタジオなどを設けた。2階には写真講座などを開くスペースやギフトショップなどを配置する。

同日開いたオープニングセレモニーであいさつした富士フイルムの後藤禎一社長は「ただのブランドショップではなく写真が好きな人たちや創造性をつなぐ場所になる」と話した。

同店は2020年に富士フイルムのイメージング製品をそろえた直営店として初めてロンドンに開設した。日本でも若者向けに写真の魅力を発信する直営写真店「ワンダーフォトショップ」が東京・表参道にあるが、同社のカメラ製品や写真全般を扱う旗艦店はロンドンにしかなかった。今年4月にはオーストラリアのシドニーに2店舗目をオープンした。

スマートフォンでの写真や動画の撮影が一般的になるなか、こだわった写真が撮影できるミラーレスカメラなどの需要は増えている。撮影した作品を投稿できるインスタグラムなどSNS(交流サイト)の普及も後押しする。特にチェキの人気は世界で高まっており、足元では年間10億枚規模で撮影されているとみられる。

富士フイルムホールディングス(HD)の24年3月期の連結営業利益のうち、写真関連のイメージング部門は前期比4割増の1019億円と全体の約4割を占め、最大セグメントとなった。

英国法人でイメージングソリューション事業のセオ・ゲオルギアデス統括部長は「デジタル時代で画像が無限に広がっているなかで1枚の写真の価値は見直されている。欧州などでは男女問わず独創的でいい写真を求める人が多く、写真市場は広がっていく」と話す。旗艦店の刷新で24年の同店舗への来店者数は23年比11%増の30万人、売り上げは2割増を狙う。

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