取次事業を手掛ける日本出版販売が苦戦した

出版取次大手の日販グループホールディングス(GHD)が30日発表した2024年3月期の連結決算は、最終損益が49億円の赤字(前の期は2億1800万円の赤字)だった。最終赤字は2期連続。主力の取次事業の構造改革費用などで26億円の特別損失を計上したことが響き赤字幅が拡大した。

売上高は前の期比9%減の4021億円、営業損益は16億円の赤字(前の期は4億1700万円の赤字)だった。駐在員向けの物資送付サービスなどの海外事業、検定などのエンタメ事業の売上高が過去最高と好調だったが、取次事業の苦戦を補えなかった。

取次事業は書店での本の販売が減っていることに加えて、取引先書店の閉店が前の期より3割増え、10%減収となった。配送運賃の上昇なども響き、営業赤字は前の期の24億円から39億円に拡大した。構造改革として早期退職や物流拠点の再編、配送コースの削減などを実施した。

トラック運転手の時間外労働の規制強化に伴い輸送力不足が懸念される「物流の2024年問題」などを受けて、運賃は今後も上昇する見通し。日販GHDはコスト削減策として25年2月にローソンやファミリーマートなどコンビニエンスストアへの配送を終了する。北海道地盤のコンビニ「セイコーマート」への取次業務も24年10月に終了し、11月からトーハンに引き継ぐ予定だ。

取次事業を手掛ける子会社、日本出版販売の中西淳一専務は同日の記者会見で、運賃について「(取次だけで)負担できる規模ではなくなってきている」と説明した。負担割合について出版社などと業界全体で協議を進めたい考えだ。

25年3月期は経常損益で10億円を超える黒字(前期は11億円の赤字)を見込む。コスト削減に加え、コンビニ一体型書店の店舗拡大など新たな施策でてこ入れする。

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