北海道新幹線の札幌延伸をめぐり、建設主体の鉄道・運輸機構は29日、鈴木直道知事や沿線自治体の首長らに、2030年度末の開業が「極めて困難」とする工事の状況を説明した。首長らは駅周辺のまちづくりや民間投資への影響が大きいとして、新たな開業時期を早期に示すよう求めた。

 機構の藤田耕三理事長が札幌市内で首長や経済団体の幹部らに説明した。3カ所のトンネル工事が地質不良などで3~4年遅れ、「全体工程のボトルネックになっている」と説明。「心配をおかけし、深くおわびを申し上げる」と頭を下げた。

 鈴木知事は「札幌開業は道民の悲願で、地元が一丸となって取り組んできた一大プロジェクト。この度の報告は大変遺憾だ」と述べた。札幌市の秋元克広市長は「最新の技術、英知を結集して工期の短縮策を検討してほしい」と求めた。

 新たな開業時期については国土交通省が有識者会議で検討しており、今後の工事リスクが見通しにくいとして幅を持たせる意見も出ているが、この日は「はっきりと時期を決めてほしい」(八雲町の岩村克詔町長)との声が上がった。

 今後、工事の進捗(しんちょく)に関する情報共有を強化するめ、国と機構、道内自治体で新たな枠組みを作ることも決まった。(新田哲史)

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