農政の基本理念や政策の方向性を示す改正食料・農業・農村基本法が29日、参院本会議で可決、成立した。食料安全保障の確保を法律の基本理念に新たに位置付け、危機時だけでなく平時から食料安保を確立。世界の食料需給の変動や地球温暖化など新たな課題に対応する。1999年の施行以来、四半世紀を経て初の改正となる。
基本法は、食料安保を「良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され、かつ国民一人一人がこれを入手できる状態」と定義した。環境と調和の取れた食料システムを確立することや、先進的な農業技術による生産性向上といった農業の持続的な発展も規定する。
食料自給率のほか、肥料や飼料といった農業資材の確保などを念頭に複数の目標を設定すると定めた。達成状況を少なくとも年1回調査する。
食料の持続的な供給に向けて合理的な費用を考慮することが必要だと明記し、価格転嫁を後押しする。農林水産省は業界団体などによる会合を設置し、生産から消費まで適正な取引が推進されるよう議論しており、法制化を視野に検討を進める。
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