経営方針説明会で質問に答えるソニーグループの吉田会長㊧と十時社長(23日午前、東京都港区)

ソニーグループの十時裕樹社長は23日、コンテンツIP(知的財産)の買収などに1兆8000億円を投じる2027年3月期までの3カ年の中期経営計画について「予算からはみ出してでも案件を取りに行くことはあまり考えていない」と述べた。吉田憲一郎会長とともに登壇した経営方針説明会で語った。主な一問一答は以下の通り。

――ソニーグループが米メディアのパラマウント・グローバルの買収を検討していると報じられています。

十時氏「特定の報道についてはコメントしづらい。一般論として、有力なIPやライブラリー、音楽でいうとカタログには関心がある。投資とリターンが我々の尺度と合う案件は検討していくというのが基本的なスタンスだ」

――良い買収案件があった場合、中計の予算をはみ出してでも取りに行く可能性はありますか。

十時氏「現時点では(高額だが良い案件があった場合でも)自社株買いを含む1兆8000億円という予算からはみ出すことはあまり考えていない。適切な規模で良い機会を見いだしていきたい」

――映画やゲーム事業に人工知能(AI)を導入する必要性についてどう考えていますか。

吉田氏「テクノロジー企業としてAIを積極的に活用していきたい。開発コストが近年大きくなっているゲーム領域に可能性を感じている。キャラクターの生成や多言語翻訳、ファンのエンゲージメント向上にも活用できるだろう。エンタメ企業として、クリエーターの権利も守っていく」

――ソニーの成長ステージは成熟の段階に入ったのでしょうか。

十時氏「利益成長が大きかった時期は(採算や損益が)悪いモノも含めた上での成長だった。今はポートフォリオの中で明確に大きな問題を抱えている事業はなく、産業全体や競合の成長を見据えた成長フェーズに変わってくる。新たな成長を目指していかないといけない」

吉田氏「今取り組んでいるエンタメやクリエーター支援は成長市場だと考えている。20世紀はウォークマンやカラーテレビなどで感動を届けてきた。21世紀は感動をつくることに貢献したい。我々が強みを発揮する『リアルタイム』に価値を見いだしていきたい」

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