経団連は20日、2024年の春季労使交渉の1次集計結果を発表した。大手企業の定期昇給(定昇)とベースアップ(ベア)を合わせた賃上げ率は5.58%で、バブル期だった1991年(5.60%)以来33年ぶりの5%超となった。

◆「人材の獲得、定着が狙い」

経団連の十倉雅和会長=1月

 平均引き上げ額は1万9480円で、現行の集計方法(組合員の加重平均)にした1976年以降で最も高い引き上げ額を記録した。大幅な賃上げの背景について経団連は「物価の上昇と(深刻な人手不足の中で)人材の獲得、定着が狙い」とみている。  調査は従業員500人以上の大企業のうち、22業種、244社が対象。  大手企業の賃上げ率は、バブル崩壊から徐々に下がり、2000年前後から定昇のみ(ベアゼロ)が長く続いた。人手不足や安倍政権が春闘に介入する「官製春闘」などの影響で14年からベアが復活し始めた。昨年、急激な物価上昇を背景に賃上げ率3.99%、引き上げ額は1万3362円(いずれも最終集計)と30年ぶりの高水準となり、十倉雅和会長は「賃金が上がり続ける起点の年に」と賃上げのステージが始まったことを強調していた。  今年の最終集計は7月末から8月にかけてまとまる予定。(久原穏) 

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