業績が悪化した第二地方銀行のきらやか銀行(山形市)を傘下に持つじもとホールディングス(HD)が事実上、国の管理下に入ることが20日、分かった。じもとHDは2024年3月期まで2年連続の赤字に陥り、過去の公的資金注入に伴って国が保有している優先株の配当を見送る方針。無配の場合は議決権が発生する仕組みで、6月下旬にも議決権の63%を国が取得する。

きらやか銀は、取引先の粉飾決算で与信関係費用が膨らんだほか、金利上昇に伴う債券価格の下落によって国債などの運用損失が発生した。債券の運用損は全国の地銀経営を圧迫。日銀のマイナス金利政策が解除されたとはいえ、地域経済は足踏みが続いており、収益改善につながる貸出金利の引き上げも容易ではない。

じもとHDは先月、金融機能強化法に基づいて09年にきらやか銀に注入された公的資金200億円を今年9月の期限までに返済することが困難になったと発表。きらやか銀頭取でじもとHDの会長を兼務する川越浩司氏らは、公的資金返済のめどが立った時点で引責辞任すると表明したが、議決権の過半数を握った金融庁の対応が焦点となる。

リーマン・ショックと東日本大震災の後に注入された分と合わせたじもとHDの公的資金残高は780億円。国が保有する優先株は、議決権がない代わりに配当金を優先して受け取れる。今後、再び配当が可能になれば国の議決権は失効する。じもとHDは25年3月期の黒字転換を予想しているが、早期に復配できるかは不透明だ。

きらやか銀行の看板

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