中期経営計画について説明する神戸製鋼所の勝川四志彦社長(20日、東京・千代田)

神戸製鋼所の勝川四志彦社長は20日、2030年代に設備更新期を迎える加古川製鉄所(兵庫県加古川市)の高炉2基のあり方について、「高炉1基、電炉1基の体制を検討している」と話した。脱炭素の流れが強まるなか、二酸化炭素(CO2)排出量の大きい高炉の数を減らし、排出量の少ない大型電炉を導入する可能性を示唆した。

中期経営計画の説明会で明らかにした。神戸製鋼は高炉を加古川製鉄所でのみ保有している。高炉は効率的に高品質の製鉄が可能な半面、石炭を生産工程で使うためCO2の排出量が大きい。電炉はCO2排出量を高炉の4分の1にできるものの、コストや品質に課題がある。

勝川氏は「(高炉と電炉1基ずつは)生産量のバランスや電炉で高級鋼が作れるのかなどを考えたうえで、一番自由度のある体制だ」と述べた。電炉転換する場合の従業員数は「減る方向だと思う。具体的に決まっていない」と話した。

同日発表した27年3月期まで3年間の中期計画では、技術開発や事業強化に向けて約1兆円の投資判断をするとした。うち鉄鋼や電力事業向けの脱炭素関連に3千億円を投じる。併せて31年3月期までに売上高3兆円、経常利益2千億円を目指すとした。

エネルギー関連装置や低炭素鉄鋼原料の製造プラントを手掛ける「機械系」を成長のけん引役として、関連分野の売上高を27年3月期までに足元1.4倍の1兆円規模とする。エネルギー業界向けの熱交換器などの製品や、低炭素の鉄鋼原料の「還元鉄」の製造プラントの販売などを拡大していく。

主力事業の「素材系」は収益性の向上を目指し、投下資本利益率(ROIC)を足元の3~4%から6~8%に引き上げる。自動車向けが伸び悩み2年連続で赤字に陥っているアルミ事業は中国や北米で事業再構築を進める。鉄鋼事業では有望市場の北米やアジアを伸ばす。

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