経済産業省は20日、日本の自動車産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)戦略案を正式に公表した。次世代車の「ソフトウエア定義車両(SDV)」について、日本車の販売目標を2030年に国内外で計1200万台とする。必要な半導体や生成AI(人工知能)など関連技術を国内各社で共同開発する。

SDVの世界シェアで3割を見込む水準まで生産を強化する。トヨタ自動車や日産自動車、ホンダといった国内主要メーカーが連携し、次世代車の技術開発を始める。経産省が20日に開いた検討会で「モビリティDX戦略」の案として提示した。

SDVに加え、無人運転タクシーなど新たな交通手段、自動車データの利活用の3分野を次世代戦略の柱とした。

トヨタが2026年に投入を予定するSDV対応型の「レクサス LF-ZC」

なかでもSDVの開発に力を入れる。SDVはエンジンや部品といったハードウエアではなく、ソフトウエアを更新することで自動車の機能を高める技術を指す。例えば自動運転車でなくても、ソフトを更新するだけで自動運転の機能を後から追加できる。

「車のスマートフォン化」とも呼び、自動車業界の競争力を左右する。経産省は20日に公表した戦略案で、35年には国内外で計1900万台まで販売を増やす計画をかかげた。

SDVの開発を加速させるため、各社が個別に開発しても独自色を出しにくい7分野で共通化を要請した。7分野は半導体、生成AI、サイバー攻撃対策、高精度3次元地図などとした。半導体はすでにトヨタやホンダといった14社が連携している。

開発には高度なデジタル人材が欠かせない。経産省は今秋に人材育成に関する新たな枠組みを立ち上げる方針も示した。国内大手メーカーやスタートアップ、異業種の賛同を募り、従来の自動車産業の領域を超えた技術者を育て上げる。

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