JR神戸駅(神戸市中央区)にかつてあった、皇族が休憩などに利用した「貴賓室」が、「スターバックスコーヒーPLiCO神戸店」に生まれ変わった。シャンデリアや暖炉など、高級感漂う当時の面影が残り、さっそく話題になっている。
JR西日本などによると、貴賓室は1889(明治22)年に完成した2代目の駅舎に設けられた。
1934年に3代目の駅舎ができた際、現在の場所に移転したと伝えられている。
戦後は47~68年に昭和天皇が2回、当時は皇太子だった上皇さまが1回立ち寄られた記録が残るという。
72年に山陽新幹線の新大阪―岡山間の開業で、新幹線が止まる新神戸駅が新しい玄関口に代わると、貴賓室は駅長室として使われるようになった。
2016年から別の飲食店が客席として再活用したが、23年1月に閉店。皇族が座ったという「玉座」はすでに撤去されている。
一方、スタバはもともと12年から神戸駅構内で営業していたが、スペースを広げようと、貴賓室のあった場所への移転を決めた。
スタバ広報部によると、新店舗は1、2階合わせて旧店舗の3倍ほどの約330平方メートル、客席も1階24席、2階84席の計108席で2倍以上に増えた。
このうち貴賓室のスペースは約40平方メートルで12席がある。高さ約5メートルの天上から下がるシャンデリアや大理石の暖炉、木組みの床板など、貴賓室時代のものが利用されている。
部屋の雰囲気に合わせた木製ソファなどの家具を新たに置いて、壁に昔の神戸駅の写真パネルを飾った。
今月10日のオープン以来、レトロで高級感のある雰囲気がSNSなどで話題になっている。
カメラで熱心に写真を撮っていた神戸市灘区のパート猪師三郎さん(63)は「今では見られないような暖炉やシャンデリアを見ることができて、まるで昔にタイムスリップしたような気分になり、感動しました」。
スタバの担当者は「神戸の皆様にとって、長年にわたりとても大切な場所。街の歴史をしっかりと伝え続けていきたい」と話している。(森直由)
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