芳井社長は米戸建て事業の回復に期待する(10日、大阪市)

大和ハウス工業は10日、2025年3月期の連結純利益が前期比21%減の2370億円になる見通しだと発表した。前期の大和リゾートなど子会社の売却益計上の反動が出る。年金資産の運用益などから生じる数理差異を除くと営業利益は実質増える。住宅ローン金利の上昇で苦戦していた米戸建て住宅事業が回復する。配当は145円と2円増やす。

前期は全国各地でリゾートホテルを運営する大和リゾートの持ち株を全て売ったことなどで、特別利益が490億円と前の期の4.9倍あった。

今期の売上高は前期比1%増の5兆2500億円、営業利益は9%減の4000億円を見込む。

大和ハウスは将来生じる退職給付の総額のうち、すでに発生している「退職給付債務」や年金資産の運用益から生じる数理差異を発生年度に一括計上している。前期は数理差異が営業利益を465億円押し上げていた。これを除く本業の営業利益は2%増になる。

海外の戸建て住宅の事業営業利益は49%増の470億円を見込む。需要が復調しており、金利上昇による新築住宅の苦戦や人件費高騰の影響を吸収する。芳井敬一社長は同日の記者会見で「米国の戸建て住宅は地域差もあるが(販売は)順調」と話した。

国内の戸建て住宅も回復する。営業利益は3.1倍の110億円を見込む。販売価格を引き上げる。販売の中心が、注文住宅から利益率の高い建売住宅に移る効果も出る。

工場の建設や物流施設の開発などを含む事業施設事業の同利益は4%増の1280億円を見込む。物流施設など開発物件の売却益が増える見通しだ。

24年3月期の連結純利益は前の期比3%減の2987億円だった。営業利益は5%減の4402億円だが、退職給付債務の数理差異の影響を除けば7%の増益となった。米国での戸建て住宅が苦戦したが、大型の物流施設の売却などを増やして補った。

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