経済安全保障分野で機密情報の保全を図る新法では、取り扱い資格を巡って民間企業の社員にも国の調査が及ぶ。本人の同意が前提だが、不当な待遇を被るのを懸念して「上司から言われたら拒否できない」との声も。項目は飲酒や借金の状況、家族の国籍まで多岐にわたり、プライバシーが筒抜けになる恐れが拭えない。
身辺調査の「セキュリティー・クリアランス(適性評価)」制度で、導入の初年度に対象となる人数は「多く見積もって数千人程度」(高市早苗経済安保担当相)だ。
対象者はリスト化され、当局は本人の同意を得て調査に入る。
具体的には、本人への質問や関係機関への照会を通じ、犯歴から薬物の乱用、精神疾患の有無、飲酒の節度、経済状況まで調べられ、家族や同居者の国籍も対象だ。結果は本人に通知され、「不適格」とされた場合には理由も告げられる。
専門家は「拒否や評価結果に伴い、職場で不合理な配置転換が行われるのではないか」と懸念する。機密保護の目的以外での企業などの利用は禁止だが、どこまで徹底できるか不透明な部分が多い。
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