25年3月期の純利益は過去最高を見込む

川崎重工業は9日、2025年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比3.1倍の780億円になりそうだと発表した。過去最高を更新する。航空分野は防衛省向けの需要が増える。工場が稼働して生産量が増える四輪バギーも寄与する。年間配当は前期比90円増の140円とする。

事業利益は同2.8倍の1300億円、売上高にあたる売上収益は22%増の2兆2500億円で、いずれも過去最高となる。9日午前の発表を受け、川重株は前日比14%高の5607円まで上昇した。年初来高値を更新しストップ高で引けた。

主力の航空宇宙システム部門は、売上収益が46%増の5800億円、事業損益が450億円の黒字(前期は150億円の赤字)を見込む。出資する米国の航空エンジン共同開発プログラムで前期発生した品質問題を巡り、業績悪化につながった補償金などの負担がなくなる。

防衛省向けの哨戒機や輸送機の需要も増える。防衛省向けの売上収益は39%増の4000億円を見込む。米ボーイング向けの機体関連向けは「比較的保守的に計画している」(山本克也副社長)。中型機「787」は品質検査に不備があったとして、米当局が調査している。

二輪車や四輪バギーを手掛けるパワースポーツ&エンジン部門は売上収益は22%増の7200億円、事業利益は42%増の680億円を見込む。メキシコの新工場が稼働した。新型コロナウイルス禍の特需がなくなるものの、農業など業務用が堅調に推移する。

為替は1ドル=140円と、前期より2.5円円高で想定する。今期の事業利益に対し122億円の減益要因になる。

同日発表した24年3月期の連結決算は売上収益が前の期比7%増の1兆8492億円、純利益が52%減の253億円だった。

血液検査機器大手シスメックスと共同出資する手術支援ロボット開発のメディカロイド(神戸市)を巡り、コロナ禍の手術控えなどの影響で181億円の特別損失が生じた。連結決算では消去され、24年3月期の決算に影響はなかった。

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